正露丸にもジェネリック医薬品?

100年以上もの長きに渡って日本で販売され続けている薬の1つに、「正露丸」があります。特許は終了し、どの製薬会社でも同じ薬を販売することが可能となっています。

もともと「正露丸」という名前は大幸薬品の登録商標なのですが、最高裁で「普通名称である」という判決を受けており、「正露丸」という名前は自由に使用することが可能になっています。

このため、国内には複数のメーカーから同じ「正露丸」の名称を持つ薬が発売されています。

大幸薬品の「正露丸」以外はジェネリック医薬品ということになるのですが、名前まで先発薬と同じというケースは珍しいのではないでしょうか。


正露丸ってどんな薬?

正露丸は、木クレオソートを主成分とする一般医薬品で、1902年に大阪の薬物商が「忠勇征露丸」の売薬免許を取得し、「忠勇征露丸」という商品名で販売されたのが、正露丸の原型となる薬です。

1903年に、クレオソート剤がチフス菌に対する著明な抑制効果を持つことが、当時の陸軍軍医学校の教官によって発見され、さらには当時、多くの将兵が悩まされていた脚気にも効果があると誤認されたこともあり、日露戦争の際には出征する将兵に大量のクレオソート剤が配給されました。

正露丸はもともとは「征露丸」という名称でしたが、これは「ロシアを征服する」という意味で、当時の世相を色濃く表した名称だったのです。

もちろん、脚気には何の効果もありませんでしたが、下痢や腹痛に対する効果は当時、戦争から帰国した兵士によって広く喧伝され、常備薬として日本中に広まることとなったのです。

なお、大幸薬品の正露丸にはラッパのマークが描かれていますが、これも陸軍の配給品であった名残といわれ、CMで使われるラッパ音も旧陸軍の伝達用のラッパ音となっています。

当初から複数の製薬会社で製造されていた正露丸ですが、1954年、もともとの「忠勇征露丸」製造販売権を継承し、業界第一位の売上を持っていた大幸薬品が「正露丸」の名称の独占的使用権を主張し、商標登録を行いました。

しかし、クレオソートの製法を独自に開発し、第二次大戦中に軍に征露丸の納入を続けた和泉薬品工業などが反発し、1955年4月に特許庁に無効審判を請求、長く裁判で争うこととなりました。

最終的に1974年、最高裁で「クレオソートを主材とした整腸剤の一般的な名称として『正露丸』は国民に認識されていたものというべき」と判断され、特許庁の審決を取り消す旨の判決が下されたのです。

現在「正露丸」を販売しているメーカーは大幸薬品のほか、和泉薬品工業、富士薬品、大阪医薬品工業、常盤薬品、キョクトウなど複数社存在しており、名称だけでなくパッケージも酷似しているものも少なくありません。

薬局では「高い正露丸」「安い正露丸」などと区別されますが、大幸薬品のもの以外はおおむね安価な価格設定となっています。

なお、かつては強烈な匂いを伴う黒い丸薬だった正露丸ですが、大腸の内壁に正露丸が付着し、炎症を起こしたという事例を受け、現在は細粒化されたものや糖衣錠が主流となっています。

「良薬口に苦し」といった昔ながらの正露丸は、過去のものとなりつつありますが、形を変えて依然として日本人の常備薬の地位を保ち続ける、息の長い薬の1つといえそうです。




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